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カキチラシ

「サカサマ」ブログサイト内、書き散らしたもの置き場。

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09/14

Tue

2010

水精(みなもり)君(仮) その1

「水精(みなもり)君(仮)」


その1
 


 ちか、と光った何かに、硝子一枚を隔てた視界は一瞬、眩む。今日も暑くなりそうだ。まだ陽が上ったばかりだというのに、早くも額から滴り落ちる汗にげんなりとする。ついで、面倒では有るがいつもの日課をさぼるわけにもいかず、桶の中の水を投げやりに柄杓ですくってはぴしゃり。すくってはぴしゃり。地面に当たった直後に水蒸気となって空中へ上っていくのではないかと思うような照り付け始めた日差しに、やる気はどんどん失われていく。もうこうなったら、柄杓などと優雅な真似をせず、思い切り、桶を振り回し一気に水をまいてしまおうか。そうすれば、少しはましな水溜りの一つでも出来て、長らく振っていない雨でも呼び寄せるかもしれない。今朝も雲ひとつない空を見て、ああ、これは影送りの遊びが出来そうだ、なんて子供じみた発想に、いよいよ今夏の猛暑にやられたか、とどこか他人事のように思った。
「面倒だな、」
 なるべく他所事に気をやって、出来ることならば眼前のそれに意識をまわさない様にしていたが、どうもそれも限界なようだった。
「・・・・、」
 さすがに現実を見てしまったからには、見ていなかった振りは出来ない程度に、真っ当なつもりである。だがしかし。
「これは、見なかった事にしても、決しておかしくはないんじゃなかろうか。ああ、きっとそうだ。そうにきまっている。」
 などと、自問自答を口に出してしまう。少し冷静になれば、そう、ごみだ、昨日、うっかりと門前の掃除をさぼったつけが、今日にまわってきたに過ぎない。そうだ。
「現実からの逃避は、あるべきではない、か。」
 昨晩の残り湯に、改めて湯を足すのも面倒だ。この際、水でも良いだろう。
「どうせ、暑くなる。」
 そうと決まれば、さっさと行動に移してしまうが吉だ。もう半時間もすれば、次の日課の時間がやってくる。
「すぐに終わるようには見えないが、」
 ここまできたら、やるしかあるまいなあ。
 どうでも良い独り言は、あっという間に消えていく。
「日記に書く事が、多くなりそうだ」
 柄にもなく、気弱になった自分は随分と殊勝なものだと思った。

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09/14

Tue

2010

水精(みなもり)君(仮) その0


「水精(みなもり)君(仮)」



その0
 
 
 体中が痒かった。そして、痛い。ごつごつとした背中の感触に、ぐ、と肩を起こしたがすぐに力尽き、そのまま倒れる。ああ、今、自分は道に野垂れ込んでいる。それだけが分った。次に閉じた瞼の下から、白く黄色い光を感じた。ああ、朝か。当然のようにそう思った。そして、次第にはっきりとしてくる感覚。暑い。じわりじわりと地面と接する皮膚の部分から、大気の熱を知った。ぴしゃ。不意に、音を拾う。ぴしゃ、り。耳が、音を聞く。びしゃ。水だ、そう、これは水だ。水のにおいがする。耳の次は鼻がにおいを知った。そういえば、咽喉が渇いたなとも思う。ああ、水が飲みたいな。出来れば冷たい、そう、朝一番の、冷たい水。きっと、それは美味しくて、美味しくて。ああ、水が、飲みたい。水が。
 
 

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08/29

Sun

2010

それが何かは分らない。けれど、悪いものじゃない、多分。

今日の夜のこと。まさに今から小一時間もたたぬくらい。珍しく早く寝ていました。そうそう、今日は何だか、全体的に外や内が暗く感じていました。いつもよりも、ちょっと、だけです。そう、そして、寝ていました。夕方くらいから、仰向けになったり横になったり、その時はうつぶせです。多少、暑かった。夏ですから。クーラーも随分前にタイマーが切れ、途中から、、窓を開け、扇風機と外の風がわずかな涼を提供してくれていました。
変な夢を見ました。いやにリアルです。自分ではいらない部分の記憶と味です。夢うつつにうつらうつら。あちらとこちらを行ったり来たり。夢の中でも、ありえぬ人が一人なのに、二人。善と悪とに分かれた様にいましたっけ。懐かしい場所です。もう、還るつもりもない場所です。それでも、ふわふわ、真綿に包まれたそこは決して不快ではありません。ですが、瞬間、ああ、こりゃ不味いなと何だか本能的に目を瞑りました。いや、最初から、目はずっと瞑っていたはず。夢の延長なのか、東から西へと一陣の何か、が背中をこすって駆け抜けて、そう。駆け抜ける、というよりも、何かを剥ぎ取って開けっ放しの窓から還って行きました。
それがあんまりにもなんともいえぬ感触と感覚に感傷を付随したものだったので、しばらく、といってもおそらく数秒間。一分もなかったかもしれない。気を抜けばまた、眠りの世界へと落ちていたかもしれない。きっと、そう。けれども終始、声に出さずとも声として、口の中で呟く文言。
がばり、と起き上がり、ああ、明るくなったかと思いました。同時に確かに今、私の何かが一緒に行ったかもしれない。いいや、錯覚か。否、何かは剥ぎ取られた。証拠に、あの永遠ともとれる刹那は西から東に抜けて、東から西へと二度、背中をこすって、背中に居座って、具合を見ていた。そうして、土産を持って帰った。そう、夢の中でも冷蔵庫の中にありえないくらいの土産の数々。箱がたくさん。包装紙が花柄なものと、カラフルなものと、白いもの、あれはきっと和菓子。華やかな方は洋菓子。買える訳がない。だって、そんなお金、どこからわいてくるというのだ。第一、あの、後ろめたさの欠片もない穏やかで慈愛に満ちた表情は、まるきり、そう、でないか!!あんなもの、見た事がない。お茶を沸かしたのは鬱陶しい方。そのままにして眠ってしまったのも、そうだった。あれは耐熱製ではなくて、火にかければプラスチックが溶けてしまうんじゃないかと思っていた。その矢先だ。ぞわりとした。ざわりとした。ああ、やはり、あれは私にとってはいらぬもの。けれども、剥ぎ取り去って行ったのは見た事もなかった善なるもの、のような気がした鏡の存在。
そう、起き上がり、息を整え、辺りを見渡し、確かに明るくなった事を確認して、電気をつけ、部屋を見渡し窓を閉め、カーテンを閉め、扇風機もつけたまま、新たにクーラーをつけて、パソコンをつけて、台所の電気もつけて、風呂場に直行。水に近い湯を浴びて、さっぱりカラスの行水、でもきちんと汚れを落とす、それから放置したままの空の炊飯器や流しの食器を片付け、残っていた紅茶に白ワインをつっこみレンジにかけて甘さを加えてそれから入れっぱなしの洗濯物もたたんで、ああ、ちゃんとしまわなきゃ。えらく醒めた頭でパソコンのキーを打つ。
もはやホットワインが美味いのかどうかも分らない。おそらく、明日の朝に飲んだならば間違いなく一口で流しの犠牲者だ。
そんな、夏の夜。

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