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カキチラシ

「サカサマ」ブログサイト内、書き散らしたもの置き場。

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01/18

Tue

2011


旅に出たくなる。春は春で残暑は残暑で秋は秋で旅に出たくなるけれど、冬は冬でまた、旅に出たくなる。
海が見たい。
どでかい空が見たい。
寒々しい野っぱらに寝転んで、鼻をすすりたい。
花の匂いのひとつもない世界は、きっと風のにおいで満杯だ。
生温い冬の太陽は、暖かくもないのに目だけが痛むだろう。
それで良い。
そのくらいがちょうど良い。
生やさしい午睡を経て、きんきんに冷え切った身体を包むのは、赤い、赤い太陽だ。
誰も彼もが夕焼けに沈み、夕陽に染まり、夕闇に消えていく。
とろける内外の境界線は、何も言わない曖昧さを甘んじて、
見逃し、
そして、
忘れてくれるだろう。
影に隠れ潜む、小さな息を漏らす塊を。
何も言わず、そろりと背と頭を撫ぜ、冷たい北風は追い立てる。
わざとらしく身を震わせ、襟元のマフラーを手繰り寄せ、ああ、寒い。
ああ、寒いと呟く声。
誇張される寒さに縮こまる。
追い立てられて、追いかけられて、追い抜いて。
余韻も残さず、空は闇に閉ざされる。
頭上で瞬く星の下、
まばたき一つ、
ああ、寒い。
白い吐息を標に、
走れ、走れ、と。
せっつく風に身を乗せて、
たったと歩く右足、左。
やがて駆け足、全力疾走。
転んで膝小僧の一つでもすりむけば、
泣けるかもしれない。
ひゅ、と胸に刺さる真冬の味。
とがめられ、仕方ないなと大笑い。
ひゅ、ひゅ、ひゅるん。
冷たい北風、刺さる胸。
撫で回される肺の中。
内も、外も、真っ青と。
しんしんと更ける夜の波。
かきわけ、泳ぎ、陸を目指す。
陸を目指す。




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10/09

Sat

2010

雨降り小僧の米食ってちゅう。


米をまけばそこから芽が出てからからの土は天からの贈り物でしっとり濡れて、ついでに傘を忘れた自分はしっぽの先までぐっしょり塗れてちくしょう、と雨だか汗だか涙か分らない雫に出っ歯の歯をゆすがせ、昨日食べた腐った茄子を思い出し、最後だと腹を抱えて大笑い。痛むみぞおちと襲い来る寒気は待ちに待った、西への切符。辛さを伴う地図を片手に、さあ、山昇り、空へと往かん、いざ、往かん!!

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08/29

Sun

2010

それが何かは分らない。けれど、悪いものじゃない、多分。

今日の夜のこと。まさに今から小一時間もたたぬくらい。珍しく早く寝ていました。そうそう、今日は何だか、全体的に外や内が暗く感じていました。いつもよりも、ちょっと、だけです。そう、そして、寝ていました。夕方くらいから、仰向けになったり横になったり、その時はうつぶせです。多少、暑かった。夏ですから。クーラーも随分前にタイマーが切れ、途中から、、窓を開け、扇風機と外の風がわずかな涼を提供してくれていました。
変な夢を見ました。いやにリアルです。自分ではいらない部分の記憶と味です。夢うつつにうつらうつら。あちらとこちらを行ったり来たり。夢の中でも、ありえぬ人が一人なのに、二人。善と悪とに分かれた様にいましたっけ。懐かしい場所です。もう、還るつもりもない場所です。それでも、ふわふわ、真綿に包まれたそこは決して不快ではありません。ですが、瞬間、ああ、こりゃ不味いなと何だか本能的に目を瞑りました。いや、最初から、目はずっと瞑っていたはず。夢の延長なのか、東から西へと一陣の何か、が背中をこすって駆け抜けて、そう。駆け抜ける、というよりも、何かを剥ぎ取って開けっ放しの窓から還って行きました。
それがあんまりにもなんともいえぬ感触と感覚に感傷を付随したものだったので、しばらく、といってもおそらく数秒間。一分もなかったかもしれない。気を抜けばまた、眠りの世界へと落ちていたかもしれない。きっと、そう。けれども終始、声に出さずとも声として、口の中で呟く文言。
がばり、と起き上がり、ああ、明るくなったかと思いました。同時に確かに今、私の何かが一緒に行ったかもしれない。いいや、錯覚か。否、何かは剥ぎ取られた。証拠に、あの永遠ともとれる刹那は西から東に抜けて、東から西へと二度、背中をこすって、背中に居座って、具合を見ていた。そうして、土産を持って帰った。そう、夢の中でも冷蔵庫の中にありえないくらいの土産の数々。箱がたくさん。包装紙が花柄なものと、カラフルなものと、白いもの、あれはきっと和菓子。華やかな方は洋菓子。買える訳がない。だって、そんなお金、どこからわいてくるというのだ。第一、あの、後ろめたさの欠片もない穏やかで慈愛に満ちた表情は、まるきり、そう、でないか!!あんなもの、見た事がない。お茶を沸かしたのは鬱陶しい方。そのままにして眠ってしまったのも、そうだった。あれは耐熱製ではなくて、火にかければプラスチックが溶けてしまうんじゃないかと思っていた。その矢先だ。ぞわりとした。ざわりとした。ああ、やはり、あれは私にとってはいらぬもの。けれども、剥ぎ取り去って行ったのは見た事もなかった善なるもの、のような気がした鏡の存在。
そう、起き上がり、息を整え、辺りを見渡し、確かに明るくなった事を確認して、電気をつけ、部屋を見渡し窓を閉め、カーテンを閉め、扇風機もつけたまま、新たにクーラーをつけて、パソコンをつけて、台所の電気もつけて、風呂場に直行。水に近い湯を浴びて、さっぱりカラスの行水、でもきちんと汚れを落とす、それから放置したままの空の炊飯器や流しの食器を片付け、残っていた紅茶に白ワインをつっこみレンジにかけて甘さを加えてそれから入れっぱなしの洗濯物もたたんで、ああ、ちゃんとしまわなきゃ。えらく醒めた頭でパソコンのキーを打つ。
もはやホットワインが美味いのかどうかも分らない。おそらく、明日の朝に飲んだならば間違いなく一口で流しの犠牲者だ。
そんな、夏の夜。

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02/21

Sat

2009

 
「ないものねだり」
 
綺麗でありたいと思うのに、
いつもそれは叶わない。
綺麗でありたいと思うに、
そう思える力がない。
綺麗でありたいと思うに、
それに向かう気力もない。
綺麗でありたい思うに、
いつもいつも真逆である。
もう、面倒くさい。
 
から、
どうでも良くなってしまった。
綺麗でありたとい思ったのは、
遠い遠い、過去のこと。
輝かしい子どもの時代、
あの頃は、
確かに私は綺麗であったのだ。
なんて、
詮無い事を思う愚か者。
いっそ、
このままで良いと。
割り切れたのなら、
素晴らしく心安らぎ活力みなぎる明日が、
待っているのだろうと、
確信ある意思を、
どこかで。
感じているというのに。
綺麗でありたいと、
願わない心こそが、
美しく稀有なものなのだろうから。
それでも。
綺麗でありたいと、願う気持ちがくすぶる今を、
心苦しく思うのであります。
 
 
 
20090218

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02/21

Sat

2009

「ほしいもの」
 
この、
この、爛れた肉を纏う
醜い身体を
この、生温い息を吐く
醜い身体を
この、役にも立たぬ
醜い身体を
醜い身体を
醜い身体を
まれにもう、
死んでしまえばよいと
思う愚かな身体を
たかが丸太のような身体であるが為に
そんなことを思う身体を
ただただ摂取することを望む
この愚かな身体を
なぜ、なぜ
なぜこんなにも醜いのだ
なぜこんなにも愚かなのだ
なぜこんなにも摂取ばかりするのだ
私は、
生れ落ちての、
餓鬼である。
 
すべてをこの身の内に取り込まねば気がすまない
という病を持って生まれた
人間である。
 
そうしていつも、いつも、
己を殺し生かし憎む。
愚かな生き物である。
 
終わりがいつかは知らないが、
いつまでぶくぶくと摂取し続けていけるのだろうか、と
なかば、
面白くもあるが、
そろそろ、
限界であるとも思いたくなる。
腹が、腹が、腹が。
はちきれそうだ。
そうして私はまた、
餓鬼を一匹、産み落とすのだ。
私は女である。
 
20090218
 

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