忍者ブログ

カキチラシ

「サカサマ」ブログサイト内、書き散らしたもの置き場。

05/03

Fri

2024

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

02/03

Tue

2009



「鬼が笑った」




梅の花が、好きだ。

菊はそう言う。

梅はね、

と、菊。

梅の花は、いじらしいから好きなんです。私はここよ、と己の存在を主張する。
そのくせ、それは密やかに、黙って。気付かれないように、声を発する。

じ、とこちらを見つめる瞳は黒い。あ、星が。

いじらしい。

星が、散っているよ、菊。

だから、可愛い。

睫毛に雫が、落ちているよ、菊。

だから、いとおしい。

はらはら、と。
ほろほろ、と。

だから、私は梅の花が好きなんです。それにね、

菊は瞬きを一つ。
ほつり、と涙が。

梅は、飛ぶんです。さみしい。いとしいと。主人のもとへ、飛んできてくれる。本当にいじらしいったら、貴方。

伏せた眼差しを、そっとあげて。唇の端を、緩めてほほ笑みをひとつ。

大輪の薔薇には見劣りいたしますがね。

目を細めて、菊。私を見ないでくれないか。

「恥ずかしい、」
「何がです、ミスター」
「名を、呼んでは頂けませんか」
「カークランド卿、」
「名を、呼んでは頂けませんか!」
「イギリスさん、私はね。梅の花が、好きなんですよ。」

さらり、と前髪が指先で遊ばれる。間近で見る菊の手。

「生命線が、長い」
「毎年、蕎麦を食べていますから」

額の中心がチリ、と痛んだ。何だか、くすぐったい。

「恥ずかしいですか」
「君が、」
「ふむ、結構」

腕を組み、にやりと嘲笑。ああ、菊の花は。

「ひそやかに、浸透してゆく」

しんしんと、しんしんと。

「大地をおかしてゆく」
「確実に」

紡がれた言葉の力強さ。

「痺れるね、」
「大変、結構です。アーサー」

癖になる。

まるで、

「芥子の花、」

唇が、赤い。赤い、赤い、花。

「そう、兄さんに似合いの花。でも、貴方。」

菊の指が、額を突く。とん、と軽やかに。ずん、と胸に、響いた。

「あれは、頂けない。あれは、何とも不粋な代物。あれは、ひどく、許しがたい。」

黒い瞳が、私を貫く。

「許しがたい、ですよ。イギリスさん」

大事なことなので、二度、言いました。

ふわり。

綻ぶような、ほほ笑み一つ。

ああ。

「菊の花が、咲いた」
「高いですよ、菊花の香りは」

何ともこれは。

「癖になる」





20090203

菊アサと見せ掛けて、にーに総受

拍手

PR

01/30

Fri

2009


菊さんとにーにの華麗なる日常~庭いじり編








「しねばいいのに」

弟はそう言うと何でもないようにまた、庭いじりに戻っている。

ただ、呟いた瞬間だけ手も何もかもすべてを(息すらも!)やめて、物騒な言葉を紡ぐのだ。

掘り返した土の中から、昨年のチューリップがころり。球根を見て再び、「しねばいいのに」。

ざく、

スコップが土を割く。買ってきたばかりの苗を植えて再び、「しねばいいのに」。

ざく、

穴を掘っては「しねばいいのに」。球根がころり(まるで生首だなと思うも口には出さないなぜなら縁起が悪い)、「しねばいいのに」。呼吸を止めて、

「しんじゃえばいいのに」。

さすがに薄気味悪くなってきて、そろそろ止めるべきかと(いったい何を?)手を休め、菊、と我の弟の名を呼ぼうと口を開けば彼はくるりとこちらを振り向いて、ざく。スコップが地を貫き。拍子に飛び出た球根をひっつかんで笑顔でにっこり。

「ほら、兄さん。まるで生首」

縁起悪いことは言うなっちゅーとるやろがこの馬鹿弟が!






カイトの名曲「しねばいいのに」。うざいくらい爽やかな歌声だよ!

拍手

01/08

Thu

2009

捏造設定アジアンな話。もはや二次創作でなく創作(笑)



「我が愛し子よ、その色を我に示せ」
 
 

 
我は血、に負けたのだ。
 
そうだと確信した途端、四肢から力が抜け落ちた。へたりと膝が地につき、頭の中が真っ白になる。

目の前が一気に狭く、ぼんやりとした。だらしなく目と口が開き切り、それでもしがみつかんとばかりに

顎は仰け反り、天をつく。いや、天をつかれたのは紛れもないこの自分。大切にしてきた世界に、穴を

開けられたのはこの自分。知らず、笑い声が落ち葉を踏むように空間に散る。

 ああ、我は負けた。

 血に負けたのだ。

 たかが、この身に流れるだけの血に、何の力ももたぬ液体だと思っていた赤き鮮血に、大敗をきっした

のだ。

 なぜ。

 どうして。

 涙すら流れない。

 気色の悪い脂汗ばかりが額に吹き出る。

 手先は痺れはじめ、上向く首にも痛みが走る。痙攣している。そう、臓器をはじめ筋肉、体を構成する

すべてが痙攣している。

血、という悪夢に痙攣していた。

 たかが血の一滴。

「っ畜生、」

 言葉をかわきりに体を満たすあらゆる水分が、穴から流れ出る。吹き出す、溢れだす!

「・・・ちくしょう」

 負けたのだ。どうすれば勝てる。もはやなくしたものを取り返すには遅すぎる。ならばどうすれば勝てる。

どうすれば勝てる。どうすれば負けずにすむ!どうすればこの屈辱を、晴らす事が出来るのだ!

「ちくしょう!!」

 血が泣いていた。

 涙はすでに、枯れはてた。
 
それは錆の日。



 
 
2009年1月8日
 
 
 
 
 
 

拍手

11/14

Fri

2008

本田菊ってこんなイメージ?きっと他にもたくさんある。

「血の涙」
 
 混乱、そう、まさにこれは混乱だ。
 さて、どうするか。
 沈思を重ねる暇すらも、世界は与えてくれない。
 飛ぶが如く飛ぶが如く飛ぶが如く。
 先へ、先へ。
 行かねば、世界は光を失う。
 光を失えば、影を失う。
 暗闇が、この手から、消えてなくなる。
 それはまさしく恐怖。
 目の見えぬ恐怖。
 私は立ち上がる。
 音すらも無意味なこの空間に、私は気配を断つ事で、わずかに残った自尊心を支えるに至る。
 愚かな、愚かな、あまりに愚かなるかな。
「なんて無様な醜態でしょうか、」
 美しくない、美しくない、それは悪。
「許しませんよ、ええ、許しません。」
 御覧なさい、こんな現実、誰が認めるものですか。
「無粋な」
 袖口で口元を隠し、汚らしい言葉を吐き捨てる。
「このど畜生が、」


 
20080921

拍手

11/14

Fri

2008

薄ら寒いフィクションです(笑)。

「妖精はもうそこにいはしない」
 
 
 彼が庭の手入れをしなくなって今日で三日となる。彼の庭は相変わらず見事ではあるが、心なしか、植物達にはいつもより元気が無い。おそらく彼らが尤も敬愛し慕う彼が慈愛あふるる笑みで持って彼らを世話し、語りかけぬせいであろう。どこか重苦しそうに、たくさんの花を開かせたバラは今にも地面へとその頭を垂れそうだ。そっと突付いてみれば、いつもならばすぐにその鋭利なる微笑で持って、私の指先を傷つけるというのに、今日はただ、触れたかと思えば気の無い様子で、しらんぷりを決め込むだけである。いやはや、主に似るのは何も生き物だけではないらしい。ついに植物にまで彼の性質と同じ物が宿ってしまったか。気付いた事実に、私は新たな心のときめく世界を見出したような気がした。が、私に植物と睦み合う趣味は無い。いくら想像の世界に愛を傾けようとも、それは現実世界との格差があってこそ成り立つ情感であって、現実世界の感情こそが空想の世界を更に素晴らしい物へと色付けしてくれるエッセンスとなりうるのだ。区別をなくせばそれはつまらないものと成り果てる。その温度差を楽しむ自分を楽しんでいるのだから。故に空想の世界へ向ける愛は、夢のような愛でなければならぬ。生々しいものでは、汚れぬ想像世界には似合わない。
 倒錯的な愛情は、実に魅惑的だ。至上の芸術作品を鑑賞するのと同じ事である。故に、私は彼と彼の大事な宝との間に培われている関係とそれに付随している感情を眺め、楽しむ事を尤も重要な趣味としている。彼と彼の間にあるそれは、まさしく理想的な愛情だ。めくるめく愛憎模様、などとメロドラマの宣伝文句のような言葉に置き換えるにはあまりに惜しい感情だ。実に素晴らしい、私にある種の絶頂感すら与えてくれる彼らの情愛は、今となってはなくてはならないものとなってしまった。性質の悪い麻薬のような物だろうか。中毒と言っても過言ではない。ああ、何と素敵な事だろう。私は誰よりも彼らを間近で鑑賞し、時に干渉する事すら可能な立場にある。彼らの間に起こった事を観照する役目は、甘い囁きで私を虜とし、何とも離し難い。
 さて、しかるに私はそんな夢の薬物からの脱却を得るチャンスを今、手にしているのだがそれは同時に夢の続きを見続けるタイミングをも、手にしている事となる。勿論、私が選ぶのは夢の先だ。私はいつまでも夢を見続けておらねばならぬ。でなければ、私が深く深く封じる事を選んだ黒い影(大日本帝国)が、足元から忍び寄り、いつのまにか頭の先まで飲み込んでしまいかねないのだから。それだけは、避けねばならない。
「恒久なる私(平和)の為に」
老兵は、黙って去るのみ。
 おっと、話題がずれた。なんだったか、つまりは、米英っていいよね、って言う話です。
 冬コミ新刊は勿論、米英本でいきますよ!
 
 
 
本田菊神サイトブログより引用
 
 
 
20081114
 
 
なんて、ね
 
 
 

拍手

カレンダー

04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

フリーエリア

最新トラックバック

プロフィール

HN:
班長
HP:
性別:
非公開
自己紹介:
管理人:たの咲千鶴とか鳥とか班長とか。
傾向:創作小説・二次創作小説
説明:「狗と鳥」の鳥の現在は呟きが主成分の二次・創作ブログです。
連絡先:aoi515@hotmail.com
カキチラシ:http://kakitirasi.blog.shinobi.jp/
リンクフリー/無断転載借用禁止

バーコード

カウンター

アクセス解析

Copyright © カキチラシ : All rights reserved

TemplateDesign by KARMA7

忍者ブログ [PR]