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カキチラシ

「サカサマ」ブログサイト内、書き散らしたもの置き場。

01/15

Wed

2025

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02/03

Tue

2009

身体計測シリーズ(ようするに、体の部位をテーマに書こう!)

 
「手」


 
 
僕はただ黙って彼の手を握り締めた。

彼が握り返してくれる事は決してないけれど、僕は彼の拳を手の中へ収める事に、心の安寧を感じた。
 
僕は生まれてからずっと、彼の手を頼りに生きてきた。
 
彼の手はいつも同じ体温で、いつも同じように僕の手中に収まる。
 
何も与えてはくれない彼の手は、ただそこにあるだけで、既に僕に何かを与えてくれている。

そう思っている。
 
彼はとても無口だ。

僕がどれだけ願っても、彼が僕に応えてくれる事はない。

それはずっと昔からそうであったから、いい加減、諦めてもいたけれど、それでも時々、彼が言葉を発してくれるならばどんなにか素晴らしい事だろうと僕はそんな空想に耽った。
 
「いってくるよ、」
 
僕はまた、返事のない言葉を無意味に呟く。
 
心の中の僕は、限りなくあなたに近い存在で、かぎりなくあなたと共に、在れるのに。
 
寂しさに身を啄ばまれ、落ちる先はあなたの手。
 
血脈の通い路すらも、覚えてしまったというのに。
 
あなたは、ただ黙って僕にその手を向ける。
 
「いってきます。」
 
僕はそれしか、言えぬというのに。
 
あなたは僕の全てであるけれど、僕はあなたの全てではないと気付いたのはとおの昔の話。

それでも僕は、あなたに今日も、手を伸ばし、差し向けられた掌を、そっと握り込む。
 
幸せな一時を、甘受する為だけに、僕は今、ここにいる。

 
 
20071029

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02/03

Tue

2009



「鬼が笑った」




梅の花が、好きだ。

菊はそう言う。

梅はね、

と、菊。

梅の花は、いじらしいから好きなんです。私はここよ、と己の存在を主張する。
そのくせ、それは密やかに、黙って。気付かれないように、声を発する。

じ、とこちらを見つめる瞳は黒い。あ、星が。

いじらしい。

星が、散っているよ、菊。

だから、可愛い。

睫毛に雫が、落ちているよ、菊。

だから、いとおしい。

はらはら、と。
ほろほろ、と。

だから、私は梅の花が好きなんです。それにね、

菊は瞬きを一つ。
ほつり、と涙が。

梅は、飛ぶんです。さみしい。いとしいと。主人のもとへ、飛んできてくれる。本当にいじらしいったら、貴方。

伏せた眼差しを、そっとあげて。唇の端を、緩めてほほ笑みをひとつ。

大輪の薔薇には見劣りいたしますがね。

目を細めて、菊。私を見ないでくれないか。

「恥ずかしい、」
「何がです、ミスター」
「名を、呼んでは頂けませんか」
「カークランド卿、」
「名を、呼んでは頂けませんか!」
「イギリスさん、私はね。梅の花が、好きなんですよ。」

さらり、と前髪が指先で遊ばれる。間近で見る菊の手。

「生命線が、長い」
「毎年、蕎麦を食べていますから」

額の中心がチリ、と痛んだ。何だか、くすぐったい。

「恥ずかしいですか」
「君が、」
「ふむ、結構」

腕を組み、にやりと嘲笑。ああ、菊の花は。

「ひそやかに、浸透してゆく」

しんしんと、しんしんと。

「大地をおかしてゆく」
「確実に」

紡がれた言葉の力強さ。

「痺れるね、」
「大変、結構です。アーサー」

癖になる。

まるで、

「芥子の花、」

唇が、赤い。赤い、赤い、花。

「そう、兄さんに似合いの花。でも、貴方。」

菊の指が、額を突く。とん、と軽やかに。ずん、と胸に、響いた。

「あれは、頂けない。あれは、何とも不粋な代物。あれは、ひどく、許しがたい。」

黒い瞳が、私を貫く。

「許しがたい、ですよ。イギリスさん」

大事なことなので、二度、言いました。

ふわり。

綻ぶような、ほほ笑み一つ。

ああ。

「菊の花が、咲いた」
「高いですよ、菊花の香りは」

何ともこれは。

「癖になる」





20090203

菊アサと見せ掛けて、にーに総受

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01/30

Fri

2009

消失と喪失と獲得

「骨の歌」

 
 
骨の形が変わってしまう前に、
 
骨の形が不恰好な形に固まってしまう前に、
 
空に、
 
あの、空に。
 
空を、抱きかかえて、
 
懐にめいっぱい。
 
そうして、形が変わってくれるなら。
 
限りなく素晴らしい世界の中で、
 
僕の、すべては終われるというのに。
 
けれど、なぜかしら。
 
せっかく、最後に雲ひとつない青空を、
 
満喫しようと思っていたのに。
 
いたのに。
 
どうして、
 
なぜ。
 
無粋な雨が、ぽつりとひとつ。
 
雫が、視界に、満ちる。
 
ああ、骨が。
 
骨が。
 
かなしい、かなしい、
 
さびしいと。
 
悲鳴を上げている。
 
形が変わる、骨の声。
 
骨の歌は、胸を引きちぎる。
 
苦しい、苦しい、
 
つらい。
 
骨、が。
 
 
 
僕はもう、もどれやしない。
 
 
20090130
 
 
 

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01/30

Fri

2009


菊さんとにーにの華麗なる日常~庭いじり編








「しねばいいのに」

弟はそう言うと何でもないようにまた、庭いじりに戻っている。

ただ、呟いた瞬間だけ手も何もかもすべてを(息すらも!)やめて、物騒な言葉を紡ぐのだ。

掘り返した土の中から、昨年のチューリップがころり。球根を見て再び、「しねばいいのに」。

ざく、

スコップが土を割く。買ってきたばかりの苗を植えて再び、「しねばいいのに」。

ざく、

穴を掘っては「しねばいいのに」。球根がころり(まるで生首だなと思うも口には出さないなぜなら縁起が悪い)、「しねばいいのに」。呼吸を止めて、

「しんじゃえばいいのに」。

さすがに薄気味悪くなってきて、そろそろ止めるべきかと(いったい何を?)手を休め、菊、と我の弟の名を呼ぼうと口を開けば彼はくるりとこちらを振り向いて、ざく。スコップが地を貫き。拍子に飛び出た球根をひっつかんで笑顔でにっこり。

「ほら、兄さん。まるで生首」

縁起悪いことは言うなっちゅーとるやろがこの馬鹿弟が!






カイトの名曲「しねばいいのに」。うざいくらい爽やかな歌声だよ!

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01/30

Fri

2009



空と山との狭間に何があるのか分からぬが、じっと見ずにいられない。

青と碧との節目に見えた、霞の色が分からない。

墨で区切ってやろうかしら。

それとも鋏で切り取ってしまおうかしら。

しまいには、釘で。点と点とを結び、釣り上げてしまおうかしら。

はたしてなくしたそのあとに、

なにがあるのかわからない。

つついて飛び出るなにかを、この目で見れるかわからない。

何が映るというの。

何が見えるというの。

それでもやっぱり、何かがある故に、この目はそれを、見ようとするのだろう。

かしらん。




20090128

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