忍者ブログ

カキチラシ

「サカサマ」ブログサイト内、書き散らしたもの置き場。

01/15

Wed

2025

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

11/14

Fri

2008

本田菊ってこんなイメージ?きっと他にもたくさんある。

「血の涙」
 
 混乱、そう、まさにこれは混乱だ。
 さて、どうするか。
 沈思を重ねる暇すらも、世界は与えてくれない。
 飛ぶが如く飛ぶが如く飛ぶが如く。
 先へ、先へ。
 行かねば、世界は光を失う。
 光を失えば、影を失う。
 暗闇が、この手から、消えてなくなる。
 それはまさしく恐怖。
 目の見えぬ恐怖。
 私は立ち上がる。
 音すらも無意味なこの空間に、私は気配を断つ事で、わずかに残った自尊心を支えるに至る。
 愚かな、愚かな、あまりに愚かなるかな。
「なんて無様な醜態でしょうか、」
 美しくない、美しくない、それは悪。
「許しませんよ、ええ、許しません。」
 御覧なさい、こんな現実、誰が認めるものですか。
「無粋な」
 袖口で口元を隠し、汚らしい言葉を吐き捨てる。
「このど畜生が、」


 
20080921

拍手

PR

11/14

Fri

2008

薄ら寒いフィクションです(笑)。

「妖精はもうそこにいはしない」
 
 
 彼が庭の手入れをしなくなって今日で三日となる。彼の庭は相変わらず見事ではあるが、心なしか、植物達にはいつもより元気が無い。おそらく彼らが尤も敬愛し慕う彼が慈愛あふるる笑みで持って彼らを世話し、語りかけぬせいであろう。どこか重苦しそうに、たくさんの花を開かせたバラは今にも地面へとその頭を垂れそうだ。そっと突付いてみれば、いつもならばすぐにその鋭利なる微笑で持って、私の指先を傷つけるというのに、今日はただ、触れたかと思えば気の無い様子で、しらんぷりを決め込むだけである。いやはや、主に似るのは何も生き物だけではないらしい。ついに植物にまで彼の性質と同じ物が宿ってしまったか。気付いた事実に、私は新たな心のときめく世界を見出したような気がした。が、私に植物と睦み合う趣味は無い。いくら想像の世界に愛を傾けようとも、それは現実世界との格差があってこそ成り立つ情感であって、現実世界の感情こそが空想の世界を更に素晴らしい物へと色付けしてくれるエッセンスとなりうるのだ。区別をなくせばそれはつまらないものと成り果てる。その温度差を楽しむ自分を楽しんでいるのだから。故に空想の世界へ向ける愛は、夢のような愛でなければならぬ。生々しいものでは、汚れぬ想像世界には似合わない。
 倒錯的な愛情は、実に魅惑的だ。至上の芸術作品を鑑賞するのと同じ事である。故に、私は彼と彼の大事な宝との間に培われている関係とそれに付随している感情を眺め、楽しむ事を尤も重要な趣味としている。彼と彼の間にあるそれは、まさしく理想的な愛情だ。めくるめく愛憎模様、などとメロドラマの宣伝文句のような言葉に置き換えるにはあまりに惜しい感情だ。実に素晴らしい、私にある種の絶頂感すら与えてくれる彼らの情愛は、今となってはなくてはならないものとなってしまった。性質の悪い麻薬のような物だろうか。中毒と言っても過言ではない。ああ、何と素敵な事だろう。私は誰よりも彼らを間近で鑑賞し、時に干渉する事すら可能な立場にある。彼らの間に起こった事を観照する役目は、甘い囁きで私を虜とし、何とも離し難い。
 さて、しかるに私はそんな夢の薬物からの脱却を得るチャンスを今、手にしているのだがそれは同時に夢の続きを見続けるタイミングをも、手にしている事となる。勿論、私が選ぶのは夢の先だ。私はいつまでも夢を見続けておらねばならぬ。でなければ、私が深く深く封じる事を選んだ黒い影(大日本帝国)が、足元から忍び寄り、いつのまにか頭の先まで飲み込んでしまいかねないのだから。それだけは、避けねばならない。
「恒久なる私(平和)の為に」
老兵は、黙って去るのみ。
 おっと、話題がずれた。なんだったか、つまりは、米英っていいよね、って言う話です。
 冬コミ新刊は勿論、米英本でいきますよ!
 
 
 
本田菊神サイトブログより引用
 
 
 
20081114
 
 
なんて、ね
 
 
 

拍手

11/14

Fri

2008

咽喉に餅をつまらせて死ねばいい。

「白い夢」
 
 夢を見ている。
 コンクリートの道路、見上げる団栗の木、重なり合う葉っぱ。その間から見え隠れする、まん丸お月様。
 ああ、夢を見ている。これは、夢だ。なぜなら月はもはや、この世に存在しない。
 愚かなる月ウサギのふざけた餅つき大会の末、あの美しく可憐で儚い月は、見事に割れてしまった。故に、僕らはまん丸お月様を心の中から奪われて、今では見上げれば真っ暗闇に赤く燃える半円と、申し訳程度に残った瓦礫の金色が、きらきらと華やかに散っている。それから幾日もたたないうちに、心を奪われてしまった僕らは一人、また一人と顔がなくなってしまった。一人、また一人。
「今日もなくなったやつがいたらしいぜ」
「明日もなくした人がいるらしいわ」
「明後日も散ってしまったらしいよ」
「明々後日も」
「その次も」
「その次も、」
「その先も・・・・!!!」
 気がつけば僕だけがなくならない顔を持ち、こうして半分と欠片になってしまったお月様を監視している。
 僕らは監視者であるというのに、その対象をうばわれてしまった。
 なくしたものは、もう僕らの手には戻らない。
 残らない思いを心からも消失させた、憎き月ウサギたちを僕は如何してやったらよいのだろうか。この頃、そんなことばかり考える。
 仕方ないので、とりあえず、丸い皿でも飾っておこう。
 
20081114
 
 
 
 
 
 
 
 
 

拍手

11/14

Fri

2008

「ある御婦人への讃歌」
 
 
見えぬ泪は滑り落ち、
じわりじわりと、
同化する。
ゆる、ゆると。
消えた痛みは何処へ往く。
じゅわ、じゅわと。
仰ぐ瞼は、既に乾き。
見える空は、
しら、じらと。
忘れる恐怖に懐古の情。
暗い乳白色に包まれた、
真白い微笑は凛として。
 
 
手の甲に、青き地脈。
流れ星と、貴女の声。
翳んだ色で見る景色。
 
 
清清しく重きこと。
往々にして美しきこと。
あたたかい掌のこと。
 
 
 
 
200806某日

拍手

09/01

Mon

2008

亜細亜三兄弟その2

「浄化作用」
 
 
 
 如雨露をそっと、傾ける。すると思ったよりも勢いよく水が飛び出し、びっくりして思わず指の力が抜け落ちそうになった。危ない危ないと、しっかり、手に力を込め直す。
 庭に咲くムクゲに水をやる。気がついたら芽が出て、すくすくと育ち、花をつけたムクゲは逞しい命を、残暑の太陽の下、しっかと燃やしている。
「まるでそれは。」
「何だというのですか、兄さん。」
「お前こそ、何アルね。珍しい。」
 明日は槍でも降ってくるかしらん。
 思わず、空を見上げた。
「酷い言い草。」
 いつのまにか隣に並んだ弟は、やや不本意そうに片眉をあげる。おやおや、器用だこと。
「気味が悪いアルよ、菊。」
 再び、如雨露の水を花に与える。花を、葉を、茎を滴り落ちる水玉は、しっとりと地面へと吸われて行く。
「兄さんこそ、何ですか。」
 名前なんて、呼んじゃって。
 明日は槍でも降りますかね。
 言って、弟はわざとらしく目を細めて空を見上げた。つられて、首をちょっと上向けると、薄っすら背の鱗をなびかせて、雲龍が太陽を絡め取る様を見た。成る程、季節は確実に移行しているのだな、と何となくしみじみ感じ入ってしまったものの、隣から注がれる何ともいえぬじっとりとした視線に、首筋を汗が伝った。
「今日のお前は変アル。」
 顔を今度はしっかと弟の目玉に合わせ、言ってやる。すると彼はちょっと驚いた、といった風に目を瞠って、次の瞬間にはふわりと微笑んだ。
「ふふ、兄さんがムクゲに水なんか、くれてるからですよ」
「花に水をやるのがそんなに変アルか」
「ええ、ひどく。」
「ヒドク?」
「ひどく。」
 はあ。
 次は溜息。勿論、我が零した。弟はすでに、微笑をすっと能面の奥に隠してしまっている。そして尚も口を開こうとする気配だ。現にほら、今にも言葉を声として発現しそうだ。弟は喋る前、少しだけ瞼が震えるのだ。尤も、それは今日みたいにおかしな事を次々に語る場合のみであるけれど。とにかく、我にはこの弟と頭が痛くなるような会話を繰り広げる気は毛頭ない。さて、どうするか。
「兄さん、ずるいですよ」
「ナニがッ」
 思案していた所への不意打ちに、声が裏返ってしまった。
「だって兄さんったら、決まって水をくれてやるんですもの。」
 それも同じ時間、同じ分量、同じ笑みでもって!
「はあ?」
「ずるいですよ。ムクゲにばっかり。ムクゲなんて、ほっといたって地下から水を吸い上げますよ。なくたって、どこからなりと、水気を引き寄せてきます。」
「そんなものアルか?」
「そんなものですよ。植物は強かな生き物です。」
「そんなものアルか。」
 そうだ、と力強く頷く弟は、もはや己が何を喋っているのか理解していないだろう。まったく、いつまでたっても手間のかかる子供で困った物だ。自分が欲する物を欲しいというのにこんな回りくどい言い方しか出来ないのだから。
「菊、言いたい事はちゃんと言うアル。兄ちゃん、菊からの話なら、いつだって聞いてやるアルよ。」
 空になった如雨露を地面に下ろし、正面から菊と向き合った。少し前までは屈んでやらねばならなかった子供は、もう大きくなったというのに今度は覗き込まねばならぬらしい。まったく、手間のかかる事だ。菊はすっかり顔を俯けてしまった。ほっておいたら、うずくまってしまうかもしれない。
「しょうがない子、アルね。」
 ああ、もう。膝を抱えてしゃがんでしまった男は、小さな小さな子供と一緒だ。
「菊?」
 すぐにでもその身を抱き締めてやりたいけれど、そこは我慢の為所。菊が自分から言い出すまで、辛抱強く待ってやることにした。幸い、暇をつぶす物はすぐ傍にある。隆々と咲き誇るムクゲに、少し離れた所では緑の葉を繁らせ影を落す、桜の木。隣で静かに眠っている梅の木は、枝先を赤蜻蛉が飛び交い、賑やかだ。今年は去年に比べ、数が多いような気がした。そうそう、ムクゲの後ろに隠れてしまっているが、ノウゼンカズラは負けじと盛りを迎え、いくつも花提灯をぶら下げている。いや、ここは花簪と言った方が風流だろうか。いやいや、簪というには花弁が大きすぎる気もする。それにじっくり見ると、グロテクスにも見えてくるのだから花は面白い。簪ならば、道を隔てた離れに咲くサルスベリの方が、余程、似合いだろう。赤でも白でもない我が家のサルスベリは、薄桃色だ。一度、それを写真に収めた菊が彼の友人らに見せたところ、その可憐な色味が気に入ったと言い、あまり歓迎したくない輩が何人か、茶菓を持参し花見にやってくる事を思い出した。正直、いらん事をしてくれたものである。が、自慢の庭を見せてやる事に異議を唱えるような無粋な事をするつもりもない。まあ、嫌味の一つや二つは挨拶代わりだ。向こうも分かっている事だろう。
「私は兄なんか、いりません。」
 おや、そうきたか。
「なら、我も、弟なんかいらんアル」
「一人もですか?」
「一人も。」
「一人も!」
 現金な奴だ。急に明るい声を出したかと思えばすっくと立ち上がり、にっこり微笑み「綺麗に咲いてますね、このムクゲ」等とのたまう。まるでガキのする事だ。いいや、もうこの男はただのガキと成り果てた。いいや、現金なのは己こそ。変貌した男の様子に、胸元がじわりじわりと少年への父性に溢れてくる。そう、子供は可愛らしい生き物だ。
「菊、今年はキクの花も一緒に植えるアルか」
「本当?」
「本当。」
 中国さん、中国さん。
 呼びかける声の、なんと甘やかなこと。耳障りの良い声は、愛すべき音色である。
「何アルか」
「今夜は何が食べたいですか(うそつき)」
「菊の食べたい物で良いアルよ(この性悪め)」
「にほんー、兄キー、何やってるんすかー」
「ヨンス、」
「韓国さん」
(なに、ちょっとした。)
「ごっこ遊び、」
(アルよ。)
(ですよ。)
「・・・・二人とも、変な顔なんだぜ。」
 
 
 
 
 
20080901
大変仲の良いアジア3兄弟。にーにと菊はそんな間柄で良いと思う。もはやヘタリアでなくオリジとなっているけど気にしない(笑)。
 

拍手

カレンダー

12 2025/01 02
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

フリーエリア

最新トラックバック

プロフィール

HN:
班長
HP:
性別:
非公開
自己紹介:
管理人:たの咲千鶴とか鳥とか班長とか。
傾向:創作小説・二次創作小説
説明:「狗と鳥」の鳥の現在は呟きが主成分の二次・創作ブログです。
連絡先:aoi515@hotmail.com
カキチラシ:http://kakitirasi.blog.shinobi.jp/
リンクフリー/無断転載借用禁止

バーコード

カウンター

アクセス解析

Copyright © カキチラシ : All rights reserved

TemplateDesign by KARMA7

忍者ブログ [PR]