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「サカサマ」ブログサイト内、書き散らしたもの置き場。

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Tue

2009

身体計測シリーズその③「足」

 
 

 
「足」

 
 
足があるいている。

足が空(くう)をあるいてくる。

足の爪には紅がひかれている。

彼女は足か。

否、先頃は男も紅くらい、ひくときいた。

ならばこれは彼なのか。

なんと珍妙な。

なんと奇怪(きっかい)な。

足はクルリと私の前で回れ右。

おい、ちょっとまて。

まだ話は終わっていない。不躾に見ていたことはお詫びする。

平身低頭、この通り。

世界に頭を下げてでも。

頼むから。

私に足を、くれないか。

なあ、おまえ。

どんな足でもかまわない。

悪癖持ちだって、かまわない。

代わりにこの目を一つ、おまえに捧げる。捧げるから!

私に足を、紅の通う足を、くれないか。

私の片目は青色だから、世界は美しく見えるのだ。

私の片目は真っ黒だから、世界は静かに寄り添うのだ。

おまえの好きな方を、選んでくれ。

二つは駄目だ。一つだけ。

指が欠けていても良い。

私はおまえの足が欲しい。

おまえの足は長く、長く。

歩く力をもっている。

現にほら、おまえ。

私の前まであるいてきたじゃあないか。

ついでの駄賃だ、私を拾っていってはくれないか。

楽しくやって、いこうじゃないか。

空を歩くのは、しまいにしよう。

地を歩くのだ。

暖かく、冷たい地面を足でふみつけて。

ふみつけて。

踏みしめるのだ。

きっと、愉快なんだ。

きっと、晴れ晴れとする。

どうだ。

一つ、私といかないか。

私には足が、必要なのだ。そうだろう。

私が歩いてやる。

私に歩かせてくれ。

私に。

(せかい)を、くれ。
 

 
20090128

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