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「サカサマ」ブログサイト内、書き散らしたもの置き場。

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01/05

Wed

2011

空気漫画ならん空気短文。なんじゃそら。

「においも残らない部屋の中」
 

 鏡餅の上にのせていた、葉っぱつきのみかん。
 気がついたら、腐っていた。
 いいや、ちょっと、茶色になって痛み始めてる。でも、きっと、これの中身は腐ってる。
「どうした、」
 珈琲を片手に、君が顔を出す。
「珈琲くさい」
「しゃあねえだろ、珈琲だもんよ、」
「みかん、」
 指差し、君を見る。少し僕を見て、君は立ったまま、行儀悪く珈琲をすする。しかも、音を立てて。
「食っちまえば?」
「鏡餅が、裸になる」
「良いじゃねえか。裸」
 ずず。
 珈琲をすする音。それから、少し、沈黙。
 君のマグカップからは黒い世界が消えて、君の左手にある僕のマグカップからは、湯気が消えた。
「ほれ、」
「わ、」
 手の中に、生温いカップ。僕の、珈琲。ミルクと砂糖が混ざっていて、見た目は悪い。でも、甘い。
「ん、まだいけるぜ、これ。」
 オレンジの皮のまま、一口。
 いくら小さいみかんだからって、それはないと思う。一瞬だ。一瞬で、君の中へと消えてった。
「ひどい、」
「ひどくねえよ、」
 そう言って、君は残った葉っぱを、鏡餅の上へそっと置く。
「・・・みすぼらしい」
「そうかあ?意外に、いけてんぜ?」
 ずず。
 一気にマグカップの中身を飲み干した。

 
20110104


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